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2019/01/10
しづちゃんのブログ

幸せってなんだっけ 

前回、このブログで「人権作文」をご紹介させていただいたのですが、

その中に「みんなが長生きできるのはとてもすばらしいことです。でも私は「幸せに」生きなければ生きる意味はないと思います。」という一文がありました。

 

私自身もこの仕事についてから特に、「幸せ」ってなんだろう。「生きるってなんだろう。」と模索するなかで、認知症という病気は私たちに幸せや生き方を教えてくれているんじゃないかと思うようにもなりました。

 

若年性認知症と診断された「丹野智文さん」が「昨夜、何を食べたか」より「今晩、何を食べたいか」を考えようと言われていて、ハッとしました。丹野さんの奥様が青魚が認知機能にいいと知って食卓に青魚が並んでいた時期があったそうです。でも丹野さんは、今日のご飯は何?と奥様に聞かれた時に、お肉だと「いいね!」と答えて、魚だと「ふーん」と言うだけだったようです。丹野さんは奥様に感謝してしばらく魚を食べ続けたけれども変化を感じられなかったので、「肉が食べたい。」と正直に奥様にお伝えしたところ、魚が出てくるペースが元にもどったと話されていました。奥様も肉を美味しそうに食べる丹野さんを見られて「好きなものを食べさせてあげたい」と思われたようでした。

 

私たちも日頃から認知症についての知識を学ぶので「認知症の予防にはこれ」とか、「認知症にはこんな運動がいい」とか、たくさんの情報が入ってきます。認知症にいいとなれば、それを実行していくあまり、受ける人の気持ちがなおざりになっているのではと気付かされたのです。「本人のため」という大義名分です。

 

丹野さんは、このお話の最後に

「昨夜、何を食べたか。を思い出せなくても、実際に困ることは何もありません。そんなトレーニングに時間を使うよりも「今晩、何を食べたいか」を考えてわくわくした方が、本人も家族も気持ちが楽になり、日々の暮らしがぐっと豊かになるんじゃないかと私は思うのです。」と締めくくられていました。

 

認知症であろうとなかろうと、おいしいものを食べると楽しいし、毎日の中のなにげない一コマに心が癒されてホッとして、無意識に笑顔になるときに、「幸せ」を感じるものだという、当たり前の感覚を忘れたらあかんと思ったのでした。

 

* 丹野さんのこのエピソードは「僕、認知症です~丹野智文44歳のノート」より抜粋させたいただきました。添付写真はなにげない一コマをイメージしてみました(^^)

 

 

 

 

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